日の光、静かなバス停

バスに揺られている。それぞれが携帯をみていたり、窓の外をぼんやり眺めている。次の停留所には誰もいない。街並みをみればシャッターが閉まっている。けれど、ふと、窓の外を見た時に犬を連れお散歩をしている人をみつけた。太陽の日の光で、犬の毛並みはきらきらと輝いている。真っ直ぐにみつめている。それをみつめる飼い主は表情は見えないものの、穏やかな雰囲気に安らぎを感じているのが伝わってきた。

バスが停まる。停留所から一人降りて、扉がそっと閉まる。それを見た小さな子供がバスへ近づき母親が抱き止める。次も停車した。ビビットな色合いのカバンを持った婦人は、静かな街並みを明るく照らしていた。コンクリートだらけの場所にパッとお花が咲いたよう。もしかしたらビビットな色は派手と敬遠されてしまいがちだけど、これからの街には明るさが必要なのかもしれない。

ゆらゆら揺られて日記を書く手に日の光が当たる。とても暖かい。光がそっと手の上に重ねられる。窓の外には沢山の人が生きている。それぞれが、それぞれ、違う感覚、違う生き方をしている。それがとても綺麗だと思いながら窓の外を見る。沢山の人がバスから降りて右へ、左へと進んでゆく。扉が閉められガタンゴドンと、ゆられ道路を走るバスに新しい人が乗車してきた。お話が好きな二人は静かさの中にさえずりをいれる。知らない誰かの会話も同じ空間にいたら、耳にはいるのはラジオに似ている。バスはどんどん進んでいき、スーパーの前を通る。家族に作るための食材を自転車のカゴに詰めた婦人が通る。赤いお帽子が冬の終わり、春の始まりが近づく季節を彩っていた。
街はとても静かで、休業していたり、シャッターがどこも降りている。その中で生きているものを見つかると不思議な感覚が生まれる。終点が近づいてきた。そわそわと、カバンを手に取り席をいつ立とうか考えている人、まだ窓の外をみている人、それぞれの眼差しが一つの場所をみつめた。終点だ。静かなバス停さようなら。

前の記事

二月二十七日の日記。